2018年3月5日月曜日

[ITmedia News] 「お祭りにはしたくない」――「MUFGコイン」生かすアイデア、ベンチャーから募集、三菱UFJの“本気度”

 三菱東京UFJ銀行はこのほど、独自のデジタル通貨「MUFGコイン」のAPIを活用した新サービスのアイデアを競うハッカソンを開いた。MUFGコインのシステム開発と並行して、普及につながる新サービスの創出を目指し、ベンチャー企業などから広くアイデアを募集。三菱東京UFJ銀行の亀澤宏規さん(取締役常務執行役員)は「単なるお祭りにはしたくない。優れたアイデアは事業化を検討する」と本気だ。

photo 3月4日に開いたアイデア発表会では、参加した9チームがMUFGコインを活用する新サービスのアイデアを提案した

 MUFGコインは、取引記録をP2P方式の分散データベースで管理する「ブロックチェーン」を利用し、1コイン=1円の価値を持つ。リアルタイムで取引でき、小数点以下の単位を活用した決済も検討している。データの改ざんが難しいブロックチェーン技術の特性を生かし、あらかじめ定めた条件に基づき、取引や契約を自動化するスマートコントラクトも活用する考えだ。2017年5月から同行員向けに試験導入している

 一般への提供に向け、決済手段にとどまらないサービスのアイデアを募る。ハッカソンには50社が応募し、審査を通過した9チームが参加、成果を発表した。

 大賞を受賞したチーム「$NYAON」は、「五輪のマイナー競技の報奨金が安い」という問題を挙げ、アスリートなどへ寄付できるサービスを考案。応援したい人が現金をMUFGコインに変えて寄付、総額が目標額を超えると、協会などへ支払われる仕組みを披露した。スマートコントラクトを活用し、サービス運営者が改ざんできず、水増しや中抜きのない寄付サービスを提案する。

photo $NYAONが発表したアスリートへの寄付サービス。サービス運営者による改ざんが難しく透明性を担保する

 この他、通勤・通学時の混雑を緩和するため、ピークの時間帯を避けた人が鉄道会社からMUFGコインを受け取れるサービスや、企業が学生に「TOEIC 800点以上」などの課題を与え、達成すると学費分のMUFGコインを提供、優れた人材獲得につなげる――というアイデアが出た。

photo 「WeWant…WeWork」が提案した、通勤・通学のピーク時間帯を避けると、利用者がMUFGコインを受け取れるというサービス。鉄道会社は乗客数の平準化、駅付近の店舗は待ち時間を有効活用したい利用客による消費効果を望めるとしている

 同行の亀澤さんは「まずは収益化だけではなくサービスを発想するところから始めたい」と意図を説明。既存の電子マネーなどとは違い、ブロックチェーン技術を活用した「新しい体験、世界観の提供を考えている」と強調した。

photo 三菱東京UFJ銀行の亀澤宏規 取締役常務執行役員

 同様の取り組みは、みずほ銀行の「Jコイン」(仮称)など競合も始めている。亀澤さんは、利用方法が煩雑化しないように「(Jコインとは)社会プラットフォーム部分は無駄な競争は避け、統一したほうがいいなど、共同で取り組む部分を考えたい。サービスの部分は競争すればいいし、一緒にできる部分は協力したい」と話した。

 一方、MUFGコインは、リアルタイムでの取引への対応をうたうが、仮想通貨「イーサリアム」などでは取引量の増加に伴い、手数料が高騰するなどの課題を抱えている。亀澤さんは「先にサービスレベルの議論があり、取引件数が増えるとそうした議論も出てくる」としたが、現時点では「具体的な方策はない」とするにとどめた。

 MUFGコインの一般向け提供は18年度中を予定しているが、亀澤さんは「(今回のハッカソンなどで)サービスに広がりが出るので、(時期を早める、遅らせる含め)スケジュールは考えたい」としている。

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